2018/2/26
実験は本校理科の大きな特色のひとつです。そのため、実験設備も非常に充実しています。実験室は中学棟に2つ、高校棟に6つあります。高校棟の実験室のひとつである生物室では、2/19~26の1週間にわたって、高1が生物基礎の授業で「酵母菌の培養」の実験を行っています。
パンつくりに使うドライイースト1袋(11g)の中に、酵母菌が何個体含まれているかを推測する実験で、酵母菌の培養によってできたコロニー数から、1袋内の酵母菌の総数を算出します。この実験は2回にわたって行います。
1回目は、あらかじめ実験教員がつくっていた寒天培地(写真1)に、ドライイースト1袋の酵母菌を、適度な濃度まで希釈して(写真2)、塗布します。
まず、ドライイースト1袋を水200mLに入れて、よくかき混ぜ、酵母液Aとします。酵母液Aを1mLとって100mLに薄めて酵母液Bとします。さらに酵母液Bを1mLとって100mLに薄めて酵母液Cとします。ここまでは、教員が全員の前でやって見せます。
次に実験班の代表の生徒が、酵母液Cを1mLとって(写真3)100mLに薄めて酵母液Dとします。この操作は教員がやって見せた操作です。実験班では班員全員が、酵母液Dを0.5mLとって自分の寒天培地に移します(写真4)。その後、L字管で寒天培地表面全体にまんべんなく広げます(写真5)。
班員全員がこの作業を終えたら、班員全員分の寒天培地をまとめてインキュベータに入れ、2日以上培養します。
2回目は、寒天培地にできたコロニー数(写真6)の測定です。寒天培地のすべてのコロニーを数えるのはとても大変ですから、測定シートで1cm2の区画内の数を数えて(写真7)、直径9cmのシャーレの面積(63.6㎝2)あたりの数を算出します。
班員全員のデータを平均して班のデータに全班のデータを平均してクラスデータにします(写真8)。クラスデータをもとに、酵母液の希釈倍率を考えて、1袋の酵母菌の数を求めます。
翌週の授業では、予習レポート、結果プリント(写真8)、復習レポートを一つにまとめて、実験レポートとして提出します。実験を行うだけでは、その場限りで終わってしまいますが、レポート作成によって、なぜ そうなるのか?をしっかり考えることになりますので、定着度が飛躍的に上がります。
レポート作成を課すことの副産物として、OBからは、理科で鍛えてもらったレポート作成のスキルは、大学で大いに役立っています!と、文系・理系を問わずとても感謝されています。
写真1:クラス全員分の寒天培地と酵母液A
写真2:酵母液の希釈の手順
写真3:班の代表が酵母液Cを1mL計り取っていく。
写真4:酵母液D0.5mLを寒天培地に移す。
写真5:L字管で酵母液を寒天培地にまんべんなく広げる。
写真6:培養によって寒天培地にできたコロニー
写真7:測定シートで1cm2の区画内のコロニー数を測定
写真8:各班のデータからクラスデータを算出
(高1生物担当者)