2024/8/23
地理部では7月31日から8月2日にかけて,恒例の夏合宿を行いました。今回の調査対象地域は北陸地方の中核,金沢市です。近世以降に加賀藩の城下町として発展した金沢には歴史的な街並みが残り,前田利家をはじめとする大名が奨励した様々な文化は,現在に続く芸術の源流となりました。今回の合宿では,金沢の自然・歴史・都市構造・文化について3グループに分かれて調査しました。この合宿で調査した内容は,9月28日と29日に開催する文化祭で発表します。また,文化祭に合わせて発刊予定の「ちりレポ第22号」にも掲載する予定です。文化祭にお越しの際はぜひ地理部の展示会場に足をお運び下さい!!
〔合宿1日目〕
今年の3月に福井県の敦賀まで延伸された北陸新幹線に乗車し金沢に向かいました。1日目は「城下町,金沢」をテーマに市内を見学しました。金沢城の北東側に位置するひがし茶屋街は,江戸期の町割り改変時に点在していた茶屋が集められて形成された地域です。第二次大戦で空襲を受けなかったことから,現在でも築200年を超える江戸期の建物が残っており,重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。部員達は景観観察を行ったり,建物や街並みの説明をメモしたりして知見を深めました。
金沢城の南西に位置する長町地区は,加賀藩政時代に主に中級武士が生活していた地域です。細い路地や鉤(カギ)型の街路と,それに面する長い土塀は当時の景観をよく残しています。また一部の武家屋敷は一般公開されており,部員達も当時の武士の生活のようすを体感しました。
街路は細く,複雑に折れ曲がっています。これを鉤(カギ)型の街路といい,外敵が簡単に進めないようにした防衛上の工夫です。城下町ではよく見られる街路形態で,部員達は6月に調査した川越でも学習しました。
金沢の中心に位置する金沢城は,言わずと知れた加賀藩主前田氏の居城で,隣接する兼六園は水戸偕楽園,岡山後楽園とならぶ大名庭園です。
〔合宿2日目 午前〕
2日目の午前中は金沢の伝統文化に注目し,和菓子作りの体験や能楽美術館,金箔工芸館,加賀友禅会館の見学をグループごとに行いました。茶菓子の定番,落雁は室町期に日明貿易で日本へ伝わったとされる和菓子ですが,前田氏が製造を奨励したことで全国的に有名になりました。部員達は伝統的な製法を学びながら実際に落雁作りに挑戦しました。
能楽,金箔,加賀友禅など,金沢には多くの伝統文化が残ります。
〔合宿2日目 午後〕
2日目の午後は,日本海に面する内灘砂丘を訪れました。対馬海流と北西季節風によって運ばれた砂が堆積した広大な砂浜海岸です。一方,内灘地区は今年の元日に発生した能登半島地震で液状化現象がみられた地域です。現在でも家や電柱が傾いていたり,道路が割れていたりしていて復旧にはまだ時間を要しそうです。
〔合宿3日目〕
最終日は金沢市の南西約30kmに位置する小松市へ向かいました。小松市は世界的に有名な建設機械メーカー「コマツ」の企業城下町で,市内には関連企業や施設が立地しています。特に小松工場が立地していた跡地には2011年に大型建設機械の展示や企業を紹介した施設「こまつの杜」がオープンしました。合宿最後の見学地として部員全員で訪れました。日本国内では使用できない超大型のショベルカーやダンプトラックは,主に海外の鉱山で活躍しています。このような建設機械のコマツによるシェアは世界第2位です。
部員達は夏休み期間中,地図や図表の作成,レポートの執筆を行っています。2学期が始まってからは,合宿での調査結果を文化祭で発表するための準備に取りかかります。地理部が現地調査した成果をご覧頂けますので,文化祭をお楽しみに!!
(地理部顧問)