2024/12/22
地理部では12月17日に2学期のフィールドワークを行いました。今回の調査地域は奥多摩です。東京都の北西部、多摩地区の最西端に位置する奥多摩は、東京都内でありながら豊かな自然を残す地域です。地域の9割以上が山林で、東京都、埼玉県、山梨県の都県境に位置する一帯は秩父多摩甲斐国立公園に指定されています。東京都の最高峰、雲取山(2017m)をはじめ地域全体の標高が高く、森林で覆われていることから、東京都心と比較して平均気温が5℃程度低いです。そのため猛暑が続いた今夏は避暑地として多くの人が訪れました。奥多摩には石灰岩が広く分布し、カルスト地形や石灰岩の採石場がみられます。また、多摩川の源流に近く、最上流部に建設された小河内ダムと奥多摩湖は「東京の水がめ」として重要な役割を果たしています。今回は奥多摩の自然環境をテーマにフィールドワークを行いました。この報告は、来年度に発刊予定の「ちりレポ第23号」で行う予定です。
今回の調査地は「奥多摩」です。地域の中心、JR青梅線の奥多摩駅からフィールドワークスタートです。駅のすぐ近くには、多摩川の侵食作用で形成された「氷川渓谷」があり、東京とは思えない景観が広がります。
午前中は関東随一の規模をほこる「日原鍾乳洞」へ向かいました。鍾乳洞はカルスト地形の一つで、石灰岩の地域が雨水や地下水によって溶食されてできた洞窟です。国内では山口県の秋芳洞や岩手県の龍泉洞が有名ですが、奥多摩から埼玉県の秩父にかけての地域にも多くの鍾乳洞がみられます。部員たちは数十万年以上の歳月をかけて形成されたこの自然の造形物を、地底探検をしている気分で楽しんでいました。
午後は多摩川の最上流部「小河内ダムと奥多摩湖」へ向かいました。小河内ダムは大正末期、当時の東京市において人口増加と水需要の増加が見込まれたことから建設されることになったダムで、1932年に着工後、戦時中断をはさんで1957年に完成しました。重力式コンクリートダムで水道用のダムとしては日本最大規模です。小河内ダムによって形成された奥多摩湖の貯水量は1億8千万㎦にもなり、これは東京都民1300万人の40日分の量に相当するそうです。
小河内ダムと奥多摩湖ができたことで、流域で生活していた950世帯あまりが移転を余儀なくされました。また谷間の交通路は奥多摩湖によって分断されてしまいました。その代替手段として湖に掛けられているのが浮橋です。かつてはドラム缶を浮かべて交通路としていたため「ドラム缶橋」と呼ばれています。部員たちは橋を実際に渡って揺れ具合などを体感していました。
現在、部員達はフィールドワークの成果を「ちりレポ」に掲載するため執筆作業を行っています。冬休みには3学期の巡検と、その後の春合宿の準備に取りかかります。今後も地理部の活動にご期待下さい!!
(地理部顧問)