2017/9/6
私たち化学部は、8月23日~25日に茨城県にて合宿を行いました。
今年も例年通り、日本最高峰の研究施設が集うつくば市を拠点にして様々な展示施設・研究施設を見学しました。
普段実験室に閉じこもっているだけでは得られない様々な知見を得ることができたように思います。
つくば市に向かう途中、最初に訪れたのは千葉県我孫子市にある鳥の博物館です。
鳥というと、化学部と言うよりも生物部の領域のように感じますが、そんなことはありません。
例えばハチドリの羽毛には美しい金属光沢があります。
この煌めきは構造色と言って、羽毛自体には色は付いていないのですが、その微細な構造に光が干渉することによって色がついて見えるというものです。
そしてこの構造色を持つ材料を創成するのは、化学の仕事です。
実際、鳥の構造色をモデルにした材料も、博物館に展示されていました。
同じ対象でも、化学の見地から見ればまた違った景色が見えるのです。
次に見学した気象測器検定試験センターでの一枚です。
気象測器検定試験センターは、普段から私たちが利用している天気予報などの際に欠かせない気象測器の正確性を保証するための機関です。
この施設の向かい側にあり、日本の様々な「基準」を司る産業技術総合研究所からマスターとなる測器を借り受け、それをもとに点検・校正を行っています。
写真は検定施設の一つ、風洞です。
風速風向計の精度や頑丈さを測定する施設なのですが、何とこれまでに三回ほどあまりの強風で検定する測器が壊れてしまったことがあるそうです。
他にも多くの話をして頂き、私たちの日常生活は裏から様々な人に支えて頂いているのだと言うことを実感しました。
二日目は様々な展示施設を巡りましたが、白眉はやはり地質標本館でした。
この地質標本館の展示の中でも特に興味深いのが鉱物の分類展示です。
この展示は言わば実物で構成された鉱物図鑑のようなもので、鉱物内の原子の結合の仕方などを研究する結晶化学の基礎を学ぶのには最適の教材です。
化学部には実際に鉱物を扱う班もあるので、部員全体の知識の深化にも役立ちました。
最後には、毎年お世話になっている物質材料研究機構(NIMS)を訪れました。
NIMSは世界序列第15位とも言われる最先端の研究所で、実際これまでに何度も世界に変革をもたらしています。
今回は幸運にも、非常に高名な研究者の方から、結晶についての講義をして頂きました。
特製ペーパークラフト等を用い、結晶の仕組みを体感的に理解することができました。
前日に地質標本館を訪れ、結晶についての予備知識を蓄えた上に、研究者の方の熱意もありとても有意義な講義となりました。
また最後には、実際に結晶の研究がどのように行われているかということで、人工ダイヤモンド合成の現場も見せて頂き、貴重な経験になりました。
今回の合宿では、通常の活動では体験できないような様々な体験をすることができました。
ここには写真は載せていませんが、化学部OBの話なども聞くことができ、色々と参考になりました。
ここで得た経験を、これからの部活動に活かしていきたいです。